各自が古タオルと針と糸を持参。
各自が古タオルと針と糸を持参。

さる2月22日、改觀寺にて今年で11回目となる「ぞうきん講」が営まれました。今年初参加の方、皆勤賞の方、演奏者、三条別院からのお手伝いの方、寺院関係者などの延べ50人が集まり、終始笑顔のお講でした。
「お講」というと勤行に法話という形式が一般的ですが、こちらの「ぞうきん講」では勤行や法話はありません。僧侶と門徒の区別もありません。各々が古タオルと針と糸を持参し、雑巾を縫い、または縫い上げた雑巾を持ち寄り、有志による二胡のコンサートに心震わせ、また四国出身の若院が手作りの出汁つゆで振舞う讃岐うどんに舌鼓を打つ、和気あいあいとくつろぎ語らう素敵な寄り合いです。

始まりは1人の念仏者、故・村木ムメさんの声でした。村木さんは三条別院へ聴聞に通い、お念仏に包まれながらお御堂の清掃奉仕の日々を過ごされていました。そのため、村木さんは毎年100枚以上もの雑巾を1人で縫っておられましたが、縫い針の細かい作業が困難だと聞いた村木さんのご実家のお手次ぎである改觀寺が、「大勢で協力できれば」と提案し、この「ぞうきん講」が生まれたのでした。

二胡の演奏に心を震わせる
二胡の演奏に心を震わせる

住職らの団結した声掛けのもと、参加者が年々増えていきました。1人の奏者からスタートした二胡演奏会は、やがてギターを含む総勢6名の演奏グループになりました。その名は「萍聚~ぴんじゅい」。浮き草が集まるという意味で、二胡を通じて皆さんとの思い出のひとつになれたら、という願いでつけられたそうです。当日は若院の歌を含む計9曲が演奏されました。

雪の降る農閑期には人待ち顔の皆さんも、今日は張り切って参加されたそうです。感想をお聞きしました。「誘ってもらったのは仏縁だ、ありがてかった」、「年に1度のことだから、どうしても来たかった」、「気持ちに整理がついた」、「久しぶりに腹の底から笑った。家にいてもこんなに大きな声は出ない」、「ばかいかった(とてもよかった)」、「ばかいいあんさ(とてもよいものでした)」、「ばかおもしぇかった(とてもおもしろかった)」などなど…。皆さんから口々に聞くうれしい言葉に、思わず顔がほころびました。雪残る季節に、ここはなんと温かいことかと。
こうして縫い上げられた250枚以上の雑巾は三条別院の清掃以外にも、三条水害や中越地震、中越沖地震支援で広く活躍しています。

縫い上げられた250枚以上の雑巾
縫い上げられた250枚以上の雑巾

(三条教区通信員 石塚 亜里)
『真宗 2010年(5月)』
「今月のお寺」三条教区第19組改觀寺
※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しています。

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