お寺からケアの可能性を開く
僧侶のためのグリーフケア連続講座 in 静岡
大切な方を亡くした深い悲しみに寄り添いながら、共に悲しみに向き合い、前へ進んでいけるように支える活動として「グリーフケア」があります。
このたび、岡崎教区の一郷真氏(第34組真勝寺副住職)、渡邉元浄氏(第35組正蓮寺住職)が実行委員会を立ち上げ、一般社団法人リヴオンとの共催のもと「僧侶のためのグリーフケア連続研修会 in 静岡」を開催することになりました。同連続講座は、名古屋、東京、北海道に続いての開催となります。
静岡会場の代表である一郷氏と副代表の渡邉氏にお話をお聞かせいただきました。
講座開催までの経緯と願い
悲嘆を抱えた人を前にして読経だけすれば良いと一点の曇も無く自負していれば心が折れることも無かったのでしょう。あるいは、衆生を救うのは弥陀の本願であって僧侶ではないのだから心が折れること自体、勘違いも甚だしいと自分に言い聞かせ、気持ちを処理すべきだったのかと自問が続いています。
また去年のことでした。医療福祉に従事する方から「お坊さんは、“苦しみとはこうだ”“悲しみとはこうだ”と言って、苦しみや悲しみについて型にはめたお話をされる方が多いですが違和感を覚えます」と言われたことがありました。その方は「苦しみや悲しみを一般化して語るところに、悲嘆に寄り添う姿勢を感じられない」と言われたのだと思いました。まさに私の有り様を言われたのかと受けとめました。
そしてリヴオンの主催するグリーフケアの学び合いの場“いのちの学校”というところへ半年間程参加してみました。すると、悲嘆にはそれぞれの人ごとに物語があることに改めて気付かされました。また、目の前の人が抱える悲嘆を一般化して捉え、ご法事等の場で生老病死の四苦として悲嘆や苦しみを語っている自分は、何者として何のためにそれを語っているのかについて顧みることを疎かにしていた自分の姿にも気付かされました。
こういった経験を通して、僧侶として悲嘆にどう向き合うことが出来るのかが大きな課題となっています。
私たち静岡県内の大谷派の僧侶は、先輩方が大事にされてきている育成員研修会などの組を越えた僧侶どうしの交流があります。そこで以前から面識のあった渡邉元浄氏から、ご自坊でグリーフケアに取り組まれていることと、そのきっかけとなったリヴオンという団体の存在についてご紹介いただきました。
いま “グリーフケア”という言葉が気になるお坊さんたちが集い、学び考え、それぞれの現場でのグリーフケアの課題を共有できる場を地元で持ちたいと願い、すでに大谷派の寺院、教区などで過去10年多くの研修会などを担当されてきた実績のあるリヴオンさんとの共催となりました。
“グリーフケア”にご関心のある僧侶の方や坊守さんなどお寺のご家族の方、この機会に共に学んでみませんか。ご参加をお待ちしています。
(一郷真)
2001年に父(先代住職)をなくし、22歳で住職になった後、がむしゃらに動いて来ました。一人になると不安で仕方なく、予定をなるべく埋めて過ごしてきました。教化活動に力を入れ、挑戦もしました、失敗もしました。
長い暗闇を歩み続けた2013年、友の勧めでリヴオン主催の研修会「弔い100年塾」に参加した際、初めて尾角先生と出会い、改めて気が付きました。「ひとりじゃない」「不安が光だ」と。
「まずは自分が学ぼう。よき香りのする人の近くにいよう」と、そこからまた歩み始めました。法務の合間を縫って、リヴオン主催のファシリテーター養成講座、僧侶のためのグリーフケア連続講座に通い、悲嘆への反応の種類や、それが自然なものであると認めてもらえる世界があること、僧侶としての具体的な役割を知りました。
同時期、ある別の講座で「僧侶が、仏様とご門徒の邪魔をしてはいけない」「私の最大の失敗は何もしてこなかったこと」とそれぞれ別の講座で聞いた一節に揺さぶられつつも励まされながら、自坊へ戻り、法務、法要、表白、ご門徒への手紙の内容など、講座で学んだことを総動員して全てを見直しました。挑戦もしました。やはり失敗もしました。
何もしない方がいいのではないかと思った時もありましたが、これまで“歩み始め続け”られているのも、リヴオンという“家庭”に集う全ての人が温かく真剣で、私も仲間になり、共に悩み、共に笑顔になりたいと思える安心感があったからこそ。その安心が土台となって、連続講座でつながりを得た仲間と季節に一度「グリーフケアのつどい伊豆」を開催してまもなく2年となります。
【グリーフケアのつどい伊豆 2017秋の間参加者ご感想】
・誰かに自分の心の内を聞いてほしいとそんな場がないかと探していました。話を聞いてくれるだけでホッとするのです。そんな時間をいただき感謝します。同じ亡き人を思う心が温かくしてくれました。(K.T)
・皆さんのお声を聞けてよかったです。グリーフケアという場所があって本当に良いと思います。本人にしか感じられないつらさや悲しさ、一緒に気持ちを分かってほしいのは自分だけではないことが聞けて安心しました。(ひまわり)
・何年たっても大切な人を亡くした悲しみはなくならない。実感させられました。悲しみを聞いて頂くだけでもありがたい集いでした。(M.S)
・彼を亡くしてから、とにかく誰かに聞いてほしくて会社の同僚なんかに話して、心のない言葉を言われたり、話を聞きたくなくて避けられたりしました。今日初めて会った私の話を皆さんがちゃんと聞いてくれたことがすごく嬉しかったです。少し呼吸が楽になった気がします。(H.K)
・ 今週はこの文に感謝の一週間でした。 Today we miss on his birthday.We will pray for him. 友人はありがたい宝です。(M.S)
正信偈の依経段「道俗時衆共同心」。僧侶であろうと僧侶でなかろうと、「いきていける」という実感を味わう世界を紡いでいくために、この連続講座が生まれました。ともに学び、ともに悩み、ともに笑顔になれるための“心同じくするご縁”と感じていただくことが、私の願いです。
まずはプレ講座だけでも。ご参加をお待ち申し上げます。
(渡邉元浄)
「死に直面した誰もが必要とするサポートにつながる社会の実現」に向けて活動を行ってきたリヴオンは、この度、想いをもった有志の僧侶と共に、名古屋、東京、北海道に続いて、静岡でも連続講座を開講することになりました。
お葬儀や日頃の法務の中で出会うご遺族に何ができるのか。もともと持っている日本仏教のグリーフケアの力、そして、改めて必要なスキルやあり方を学べる場です。そして具体的に動き出す実践の一歩までをご一緒できればと願っております。過去の受講生の声から「『法務の現場に生きる』智慧やスキルが身につく」と好評を賜りました。みなさまのご参加お待ちしております。
こんなみなさんに本講座をおすすめします!
- ●お寺を遺族のために開きたいけれど、具体的にどうしていいかわからないので学びたい
- ●「グリーフケア」って耳にするけれど、まだよくわからない
- ●日頃ご遺族と接しているけれど、力になれているのか、傷つけたりしていないか不安
- ●自分自身と向き合う時間もなかなか持てていないので、これを機に自分自身のことも見つめたい
- ●震災などの災害支援、社会問題ともなっている自殺に対して、何ができるか考えたい
(『僧侶のためのグリーフケア連続講座in 静岡』開催チラシより)
プレ講座開催のご案内
■日 時: 2017年12月5日(火) 13時~17時
■場 所: 蓮福寺(〒436-0078 静岡県掛川市肴町6) 東海道新幹線「掛川駅」から徒歩5分
■ファシリテーター:
尾角光美(一般社団法人リヴオン代表理事)
水口陽子(リヴオン理事)
ゲスト 過去クラス修了生
■内 容:
グリーフケアについて学ぶ初めの一歩
ロールプレイを体験してみる
本講座の概要を知る
修了生から「講座を終えてみて」のお話 など
お申込みの詳細については添付のチラシ(PDF)をご確認ください。
本講座のご案内
■日 時: 各回 12:30 ~ 18:30
2018年
第1講 1月22日(月) グリーフケアの基礎
第2講 2月 6日(火) 自分自身を知る時間
第3講 2月21日(水) 「聴く力」を身につける
第4講 3月 5日(月) お寺×グリーフケアその1 ※ゲスト講師
第5講 3月29日(木) お寺×グリーフケアその2 ※ゲスト講師
第6講 4月26日(木) お寺で生み出すグリーフケア
特別講 5月30日(水)夜 お寺からつながるグリーフケア
※修了プレゼンテーション&静岡におけるグリーフケアに関わる人や団体とつながる交流会を予定
■場 所:プレ講座と同会場を予定(臨時法務等による会場変更は都度参加者にご連絡します)
■ゲスト講師:
第4講 酒井 義一氏 (真宗大谷派 存明寺 住職 )
第5講 窪田 充栄氏 (臨済宗妙心寺派 勝林寺 住職 )
第5講 渡邉 元浄氏 (真宗大谷派 正蓮寺 住職 )
■ファシリテーター:
尾角 光美(一般社団法人 リヴオン代表理事)
水口 陽子(一般社団法人 リヴオン理事)
■定 員: 2 0 名 定員になり次第、受付を締め切り
お申込みの詳細については添付のチラシ(PDF)をご確認ください。
(参考)
尾角氏著作 http://www.amazon.co.jp/dp/4763133438/
インタビュー記事 http://greenz.jp/2015/02/09/live_on-3/
存明寺 グリーフケアのつどい https://jodo-shinshu.info/2015/07/12/1841/