宗派では、宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃事業の5つの重点教化施策の一つとして、「真宗の仏事の回復」-朝夕のお勤めや報恩講をはじめ、通夜・葬儀・法事などのあらゆる仏事が、御本尊を中心とした仏法聴聞の場として回復していくための取り組みを推進しています。このコーナーでは、次世代の人びとに仏縁をつなぐ活動を推進する、全国の教区事業をお伝えしていきます。

 


 

【三重教区の取り組み】

 三重教区では、教区内寺院の住職、寺族、ご門徒のみならず、お仏事にご縁のあった方を対象に、リーフレット「お仏事のQ&A」(A4三折り)を作成しました。このリーフレットは、普段の月参りや法事の際などにお配りすることで、ご門徒と住職の会話が広がり、また、普段はお仏事に関心が薄いご門徒やご門徒以外の方にも真宗の教えに触れる機会を持っていただき、お念仏申す生活(真宗の仏事)が回復されていくことを願いとしています。

 中陰編、法事編、葬儀編の3種類を作成し、それぞれのお仏事に関するよくあるQ&Aや、「中陰」や「命日」といった言葉の意味、中陰のお荘厳等について説明しています。また、「どんなことでも気になることがあれば、お手次ぎのお寺の住職と話し合ってみてください」と記載し、同朋の会などで、住職とご門徒の間で会話が生まれる促しとなるような工夫もされています。

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【Q&Aの例】(お仏事のQ&A~亡き人を縁として~vol.3「葬儀」編より)

 

Question 「告別式」とは葬儀のことでしょうか?

Answer 

 告別式は葬儀そのものではありません。

 葬儀は、家族や親族が大切な方との最後のお別れをし、その死を悼むことをとおして「生きる」ことの大切さを学ぶ宗教行事です。

 告別式は、亡き人と生前交流があった地域や職場の人たちがお別れをする社会儀礼です。出来れば、社会儀礼に終わらずともに死を悼む場になるよう願いたいものです。

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【作成にあたって】

 作成は、三重教区教化委員会の寺族・門徒研修小委員会(住職4名、坊守2名、准坊守1名、寺族1名、組門徒会員1名、推進員2名の計11名で構成)が担当しました。作成会議の中では、お仏事の簡略化が進む昨今、その本来性が失われてきているのではないかという視点に立ち、それぞれがそれぞれの立場で、普段疑問に思っていることや、お仏事の現場でよく尋ねられること、お仏事の簡略化への懸念、三重県内のお仏事の地域差などの課題を出し合い、話し合いを重ねました。お仏事の願いを伝える読み物にするのか、正確な儀式の流れを掲載するものにするのかについても検討を重ねました。

 このリーフレットの作成が、各委員にとってあらためてお仏事を勤める意味を確かめ合う機会ともなりました。

 

【リーフレットの活用例】

 三重教区の全寺院に配布するとともに、桑名別院の本堂等では、参拝者が自由に手に取っていただけるようにしています。

 また、三折りの裏面には、寺院名などを書き込めるスペースを設けています。ここにご法事の予定を記入し、ご門徒に積極的に配布している寺院もあります。

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【今後の展開】

 今後も積極的に配布するとともに、教区内から寄せられた意見を反映し、地域差を超えたお仏事の意義に沿ったリーフレットとなるよう改訂していく予定です。このリーフレットをきっかけに、お仏事に関して様々な意見交換がなされ、お仏事の願いを確かめる機縁となっていくことを願います。

 

(取扱いについて:このリーフレットは、三重県のお仏事に沿った内容を掲載しているため、三重教区のみを対象に配布しています。)

以 上

 

(三重教務所)