グラフィックレコーディングが行われた「東別院でやりたいアイデアを叫ぶ夜会」の様子

「本願念仏に生きる人の誕生と場の創造」を期す寺院活性化の事業として、真宗教化センター寺院活性化支援室では、別院が地域社会の中で必要とされるコミュニティ創り「別院活性化プロジェクト」に取り組んでいます。
 2020年度・2021年度は井波別院瑞泉寺(富山県南砺市井波)において、2021年度からは四日市別院(大分県宇佐市四日市)でのプロジェクトがスタートしました。《共に宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃事業》

 今回は、四日市別院で取り組まれているプロジェクトについて、その進捗状況をレポートします。

四日市別院は「九州御坊」としての歴史を背景に、九州最大級の木造建築である本堂と山門を有する別院です。また、道路を1本隔てて隣り合う西別院(浄土真宗本願寺派)も九州最大級の本堂の大きさを誇り、地域の方々も並び建つ東西別院の「門前町」として両別院に親しみをもっておられます。特に毎年12月に勤まる東西両別院の報恩講は、地元の方々から「お取り越し」と親しみをもって呼ばれ、毎年の楽しみとして屋台で賑わった昔を懐かしむ声も多く聞かれることが、非常に印象的です。

教区・組の改編を経た九州教区にあって、別院崇敬護持のあり方、運営方法、教化体制等を大きく見直す時期でもあり、本プロジェクトが今後の四日市別院を考える機縁となるよう事業を展開しています。

ファシリテーターを務める中山郁英氏

本プロジェクトでは、総務省地域力創造アドバイザーでもある中山郁英企画調整局参事がアドバイザーを務め、2021年9月に現地調査を行うことから取り組みがスタートしました。その中で、地元の方々とのネットワークをつくりながら、同年11月、第1回目のワークショップを行いました。

ワークショップ当日は、毎朝別院のお朝事にお参りされておられる門徒さんをはじめ、地元商店街や地域づくりに携わる方、行政の職員、西別院の僧侶等を含む二十一名にお集まりいただきました。

まず本堂にて、中西無量輪番から「これまでの東別院は地域の方にとって、もしかしたら敷居が高かったかもしれない。本プロジェクトを機にご本尊のあるこの場を地域に開いていきたい」との挨拶がありました。

「こういうことをしてみたい」を語り合う参加者

その後、参加者各々が別院に対する思いを語ることから和やかな雰囲気で会は始まりました。続いて別院や地域の資源や課題、あって欲しい門前町の姿などをグループに分かれて語り合い、最終的に参加者それぞれのアイデアを出し合いました。

(⇒ワークショップの様子は、下記「レポートvol.1」をご覧ください。)

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第1回目のワークショップの後、ワークショップで語られたアイデアの実現に向けて、宇佐市四日市地区の活性化や街づくりに日常的に参画されている方々とのさらなる意見交換を進めました。

その中で、「地域の方々から別院を会場にやってみたいアイデアを直接出してもらってはどうか」という声があがったことから、「東別院でやりたいアイデアを叫ぶ夜会」と題したプレゼン大会が企画されました。

プレゼン大会のチラシ
中西無量輪番からの挨拶

2022年5月19日に行われたプレゼン大会当日は、事前に応募のあった6組から企画アイデアの発表が行われました。哲学カフェやおもちゃづくり、終活相談やマルシェ等、別院の境内や建物を活用した様々な企画案が発表されました。発表者も僧侶から作業療法士さんまで、様々な背景をもって地域で活動されている方々で、それぞれの視点から別院活用への思いを語っていただきました。

発表の内容は模造紙にリアルタイムでグラフィックレコーディングが行われた

発表の様子は「グラフィックレコーディング」と呼ばれる文字と絵を用いて議論や発表の内容を楽しく可視化する手法で記録されました。(それぞれの発表内容は、グラフィックレコーディング①~③をご覧ください)

グラフィックレコーディング ①
グラフィックレコーディング ②

グラフィックレコーディング ③
発表後語り合う発表者と聴衆

発表後は、発表の様子が記録された模造紙を発表者や聴衆が囲みながら語り合う様子が見られ、発表者同士の新たなつながりが生まれるとともに、企画の具体化に向けたアイデアなども語り合われました。

 

 

今後は「お取り越し」の呼び名で地域の方々の心に深く刻まれている別院報恩講の「縁日」としての賑わいと、日常的な地域とのつながりを念頭に置きながら、発表されたアイデアの具現化に向けて取り組んでいく予定です。