伝道掲示板 

手を合わせると

心が温まります




小矢部市にある廻向寺の歴史を紐解くと、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で描かれている時代と関係しています。源平合戦「倶利伽羅峠の戦い」の犠牲者を供養(廻向)するため、木曽義仲の親類が僧侶となり、真言宗の寺院を創建しました。その後、蓮如上人との出会いを機縁に浄土真宗へ改宗したというのが廻向寺の歴史です。


松永住職と掲示板

場所が、ちょうど小・中学校、高校の通学路にあり、「少しでも元気を与えられる言葉を」と、「慈悲」「慈愛」「寄り添う」「現世利益和讃や現生十益などの念仏の功徳・利益」を中心に掲示板の言葉を選んで書いておられます。また、「若者に身近なアイドルの歌詞などにそのような言葉がないだろうか」と懸命に調べて掲示したところ、学生から「お寺の掲示板にアイドルの歌詞が書いてあって意外だった」と声をかけられて、「目を止めてくれた方の反応が、なによりも励みになる」と話してくれました。





またご住職は、新型コロナウイルスの影響により、法座の機会が減っている中、伝道という願いも込めて、昨年からSNSに、法語を乗せた写真の投稿を始められました。3年前、坊守さんの癌の治療をご縁に、あらためてお念仏の教えと向き合い、救われていることに気づかされ、その感謝から「多くの方に教えの言葉を届けたい」という思いがあふれてきたこともSNSへの投稿のきっかけとなったそうです。そうしたところ、門徒や同行の方との繋がりが新たにでき、また思いがけず海外の方や若い人達から「いいね」やコメントが寄せられて、教えの言葉を求めている方がたくさんおられることを実感されたそうです。「寺は敷居が高い」と昔から言われていますが、寺の様子をオープンに配信することで寺への関心も持っていただき、「敷居」もかなり低くなったように感じておられます。


SNSに投稿した写真
報恩講の様子


また、ご住職は「音楽を通して伝えられることもある」と、音楽活動も行っておられ、近くは7月22日に城端別院で行われる「そよ風コンサート」(「コロナ禍・戦争・災害と荒んだ心にしみいる歌声を届けたい」ということを願いとしたコンサート)に出演を予定されています。


ご住職の積極的な活動などもあり、昨年の廻向寺さんの報恩講は、コロナの感染対策に大変気を遣いながらも、これまでで一番多い、御堂が満席になるほどの参詣がありました。コロナの中だからこそ、教えを求めておられる方々の思いを深く感じられたとのことです。



(高岡教区通信員・吉江 晃)

『真宗』2022年7月号「お寺の掲示板」より


ご紹介したお寺:高岡教区第一組(住職 ()()()())※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しています。