このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

青少幼年センターが主催する「ひとりからはじめる子ども会」講習会の受講がきっかけとなり、はじめての子ども会が開催されたお寺の様子をレポートします。

金沢駅近くの路地にある報恩寺さん

●不安な気持ちで迎えた当日●

北陸新幹線も開通し、首都圏からの観光客も多く降り立つ金沢駅。駅から歩いて数分の城下町ならではの細い路地に面したところに報恩寺さんはあります。金沢別院もすぐそばです。
　

近くの小学校の子どもたちとも学校のボランティア活動を通して関わりをもっていた坊守の東知芽さんは「いつかお寺を子どもが集う場にしたい」との思いを温めておられました。そして『真宗』誌で、「ひとりからはじめる子ども会」講習会（主催：真宗大谷派青少幼年センター）が京都で開催されることを知り、参加を決めたとのことです。
　

講習の中で、やりたい思いがさらに募ったものの、最初の一歩を踏み出す後押しを求めるべく、真宗教化センター寺院活性化支援室にお声がけをいただきました。そこからは、寺院活性化支援員も伴走者として関わり、当日の企画を練っていきました。（支援活動の様子は後日レポートします）
　

寺院活性化支援員（右）とチラシを作成する東さん（左）

そして迎えた当日。
　

新型コロナウイルス感染症の感染拡大も第７波が押し寄せ、近隣の行事も中止になるものがある中、最後まで開催を迷いながら、家族や学校にも相談する中で、感染対策を充分に取りながら実施することを決められました。事前申込制にしていたものの、コロナの影響もあり、キャンセルも相次ぎ、「子どもたちは来てくれるだろうか？」、「ひとりでも来てくれるといいなぁ」と不安な気持ちでその日を迎えられたとのことです。
　
　

●防災に着目した子ども会●

報恩寺さんで第１回目の子ども会が開催されたのは2022年7月28日。この日の開催にこだわったのは、東さんのある思いがありました。2008年、報恩寺さんからもほど近く、金沢市内を流れる浅野川が55年ぶりに氾濫し、近くの家々が浸水するという事態に陥りました。そのことを子どもたちにも伝えながら、「防災の意識を高めて欲しい」、そんな東さんの思いがこの日の開催の意味には込められています。（ちなみにこの日は、金沢市内で「金沢『絆』の日」として様々な行事も行われているとのことです。）
　

若院さん夫婦と子どもも交えてロープワークを学びます


　　
その願いが、子ども会の企画内容にも反映されました。東さんのご家族は、大谷スカウトの活動にも関わっておられ、ロープワークが得意。その特技を活かしながら、ロープ結びや防災グッズづくりを盛り込みました。当日は、息子さんや若坊守さんと協力し合いながら進行することになります。
　
　
　

●まさに「ひとりからはじめる」子ども会●

ドキドキしながら、開催時間を迎えます。
　

開会時間の午後4時、小学５年生の男の子が一人参加してくれました！！
　

最初にご本尊に一緒に手を合わせるところから、報恩寺さんでの「寺小屋」子ども会の歴史がスタートしました。
　

ピンクと青のロープを使ってロープの結び方もわかりやすく

ロープ結びは、ピンクと青のロープを用いることで、それまで「ちょうちょ結び」に苦手意識があった参加者にも、わかりやすく体験してもらうことができました。これまでうまくできなかったちょうちょ結びができるようになって、嬉しそうな表情も見せてくれました。
　

続いては、防災グッズづくり。
　

新聞紙とゴミ袋を使っての防災グッズづくり

防災の話を交えながら、近くの避難所も確認したのち、ゴミ袋で作るカッパと新聞紙で作るスリッパづくりに挑戦。参加者のお母さんからの後日談によると、家族の分も家で作ってくれて、家の防災グッズのストックも確認されたとか。報恩寺さんでの体験が、とても印象的だったことを物語るエピソードです。
　

ひとりの子どもとじっくりと向き合えた「寺小屋 in 報恩寺」のはじめの一歩。休憩時間には、学校での悩みなどもポロっと口にしてくれたとのことです。
　

さらに嬉しかったのは、これまで面識がなかった参加者のお母さんから、お礼の連絡があったこと。「また、ぜひ参加します」そんな声に支えられて、報恩寺さんの次なる取り組みに向けての歩みがはじまっています。
　
　

●「ひとりから」を大切に●

記念すべき第1回の子ども会を終えた東さんは「講習会で教えていただいた“ひとり”を大切にするということが、今回あらためて大事なことだと実感しました。“ひとりから”でいいんだと力強く歩むことができます」と語っておられました。
　

今後は報恩講での「大根焚き」や、「花まつり」を開催することで、子どもたちとのご縁をつくっていきたいと考えておられます。
　
　

なお、報恩寺さんの子ども会立ち上げにあたっては、真宗教化センター寺院活性化支援室“寺院活性化支援員”の派遣依頼を受け、事前の企画検討に参画させていただきました。その様子は後日レポートします。
　

【報恩寺さんのホームページ】 https://www.houonji-z3.com/
　
【青少幼年教化サポートのお問合せは】
　https://jodo-shinshu.info/shienshitu/children/ （真宗教化センター寺院活性化支援室 青少幼年教化支援担当）
　

※「ひとりからはじめる子ども会」講習会 in 京都は、2023年1月19日（木）・20（金）に開催予定です。詳細は『真宗』2022年11月号をご覧ください。