10月5日、新川文化ホール(富山県(うお)()市)においてお待ち受け大会が開催され、約320人が参加しました。新型コロナ感染防止のため、マスクの着用や手指消毒、検温、座席の間隔を確保するなどの感染対策が講じられる中での開催となりました。

合掌する参加者


開会式では、真宗宗歌を唱和した後、石川正穂(まさほ)慶讃事業推進委員会委員長と長峯顕教(あきのり)参務の挨拶があり、続いて同朋唱和による勤行がありました。その後、大谷佳人(よしひと)鍵役が挨拶し、慶讃法要お待ち受け大会のご縁をいただいた感謝の気持ちと、「現代社会に生きる一人の人間として、今ほど、浄土真宗・念仏の教えが求められているときはありません。あらためて、宗祖聖人が顕かにされた本願念仏のみ教えに生きようではありませんか」と述べられました。


休憩後、「なぜ、人は満たされないのか―現代社会にもとめられていること」を講題に、山極(やまぎわ)壽一(じゅいち)氏(総合地球環境学研究所所長)の記念講演が行われました。山極氏は「右肩上がりの経済成長を目標に社会が生産性を高めるように作り変えられていく現代において、個人の欲求はとどまることを知らず、満たされることはない。しかし、これは本来の人間や社会の在り方に合致しているのだろうか。このまま進めば地球も人類も滅びてしまう。他のいのちとのつながりを確かめ、本来の人間の生き方を考え直さなければならない」と問題提起しました。

記念講演(山極壽一氏)

大会の終わりに北島昭彦富山教務所長が「人間がどう生きてきたのか、どういう生き物なのか、どういう生き方をすればよいのか」という山極氏のお話と「南無阿弥陀仏 人と生まれたことの意味をたずねていこう」という慶讃テーマ、これは二つとも私たちに投げかけられた問いかけであり、この問いかけを一人ひとりがどのように受け取り、考えていくことが大切ではないか」と挨拶し、最後に全員で恩徳讃を唱和し、大会は閉会しました。



私たちは元来「共感力」という人間ならではの強みをもっていながら、現代社会においてはその五感を用いた情緒的コミュニケーションが希薄になり、現実(リアル)より虚構(フィクション)の占める割合が拡大したと言われています。私たち一人ひとりがあらためて「つながり」を見直し、人間本来の関係性を考え直すきっかけとなる大会となりました。



(富山教区通信員 庭田龍信)