秋はコスモス、取材時の2月は早咲きの菜の花。四季折々の表情を魅せる武庫川河川敷に程近く、またJR甲子園口駅から徒歩4分と利便性が高い閑静な住宅地に凛と佇む念佛寺。このお寺には、生きる道を求めて熱心な聞法者が集う。


ご本尊前での一枚(親鸞講座)

住職の土井紀明さんは一般家庭出身で、大谷大学真宗学科を卒業後、宗務所研修部補導、八尾別院列座、インド・ブッダガヤの日本寺駐在僧、鹿児島県甑島の住職代務者など様々な経験をされ、1987(昭和62)年に念佛寺(教会)を開かれた碩学の念仏者。ご子息で候補衆徒の尚存さんは、ホームページやSNSの管理など、さらに門戸を開く活動をされる一方で、親鸞教学のみならず幅広く仏教に親しむ篤学者。親子お2人で仏法談義される動画や寺報(「聞名仏教」)が掲載される念佛寺のホームページは必見である。


このたびは、紀明さんが担当する「聖典講座」(毎月6日午後7時始)、「念仏座談会」(毎月12日午後3時始)、「親鸞講座」(毎月22日午後2時始)、尚存さんが担当する「真宗入門講座」(毎月18日午後6時半始)の取材をさせていただいた。

たまわった信心の語り合い(念仏座談会)

昼間だけでなく、仕事終わりでも参加しやすいようにと時間設定された各集会は、法話だけではなく座談も大切にされている。「念仏の教えを確かめ、語り合う」ために県外からも訪れる参詣者の眼は至って真剣であり、心地よい緊張感が漂う聞法の場であった。取材ということを忘れて多くのことを学ばせていただいたが、中でも「南無阿弥陀仏は人間最後の言葉であり、人類最後の言葉である」という紀明さんのご教示が心に残る。


また取材後に「少人数の集まりですが、途切れることなく続くのが不思議です。お念仏自身の引きつける徳がこもっているのではないかと思います」とお手紙をいただき、苦悶する自坊での聞法会への大きな励みとなった。

参詣者への問いかけから始まる聞法会(真宗入門講座)


念佛寺は何か特筆すべき新しい仏事、目を引くような行事をされているというわけではない。しかし、有縁の方々と共に念仏の教えに学び合う聞法道場として、お寺を開かれている。此処に真宗寺院の本来のすがたが在るのではないだろうか。


仏前三句(住職作の讃句)

一 阿弥陀仏 われらとともにまします

二 阿弥陀仏 われらとともにましまして

  われをたのめと よびたもうなり

三 わがために 身をすてられし みほとけの

  ご恩受く身を 世にささげたし

      

◆念佛寺ホームページはこちら 

(大阪教区通信員・志紀正機)


『真宗』2023年5月号「今月のお寺」より

ご紹介したお寺:大阪教区第八組(住職 土井紀明)※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しています。