真宗大谷派と部落差別問題
真宗大谷派は、全国水平社創立以来、被差別部落の大多数を占める真宗のご門徒から、教団の差別的な土壌、次々に起こした差別事件などに対して、問題提起や厳しい糾弾を受けてきました。それは、宗祖親鸞聖人との深いつながりに基底した、大きな願いと悲しみから発せられたものでした。
私たちはどんな親鸞聖人を宗祖としてきたのでしょうか。今も差別に苦しむ人びとは、親鸞聖人から差別に立ち向かう勇気をもらい、解放運動を推進してこられました。同じ教えを聞きながら、差別する者・されるものという関係をつくり、排除してきた私たちだからこそ、あらためて親鸞聖人の教えを相続し、その願われた差別のない世界の実現を目指しています。
身元調査お断り・過去帳閲覧禁止運動の願い
身元調査とは、結婚や就職に際してその人の出身地や学歴、職業、社会的地位、病歴等を聞きまわることです。人を家柄や血筋で見ようとする考え方は、さまざまな差別を許し、結果として人権を侵害することにつながります。そして、その身元調査に、地域に密着した各寺院・教会で住職が管理する過去帳が利用された事例もあります。過去帳は仏法相続という宗教的意義をもつものであり、ご門徒の大切な個人情報のため、決して開示し閲覧されるものではありません。人間の尊厳を守るため、身元調査をしない・させない・許さないという姿勢が求められています。
「是旃陀羅」問題
私たち真宗門徒にとって大切な経典の一つである、『仏説観無量寿経』序分の中に、「是旃陀羅」という語が説かれています。この語について、私たち宗門は長い間、誤った受けとめのままに、教化の営みをしてきました。部落差別を温存・助長する布教をし、ご門徒をはじめ社会に対して差別する根拠を生み出し、被差別部落の人々に耐え難い苦しみを与えてきました。この罪責は、「是旃陀羅」についての僧侶の解釈・教化より起こったものです。
ここにあらためて、宗門のすべての人々と共に『観経』序分を正確に読みなおし、真に正依の経典として受けとめるため、学びを始めます。
2015年7月に「部落差別問題等に関する教学委員会」発足。翌年6月に報告書を提出。
教学委員会からの報告をうけ、教団内で共有し、社会に発信するための指針について討議。
2021年6月、宗参両議会において可決。
講師:岡田英治氏(部落解放同盟広島県連合会委員長)
講師:サンガラトナ・法天・マナケ氏