新型コロナウイルスの影響により、大勢が集まることや移動が自粛される昨今。県外や都心部に暮らす親族が葬儀や法事であっても帰省を控えるという状況が生まれている。集まることの不安はありながらも、小規模でもよいから何とかお参りできないかという要望に応えるため、山形教区第1組では「リモート法要」を開催するまでを学ぶ研修会が2回にわたり開催された。

 

 

◆リモートはこわくない

 

講師は、リモート会議やWEB会議を重ねる山形教務所所員の曽場浩代氏が担当。講師の所属寺院も勤務地と離れた教区のお寺ということもあり、緊急事態宣言や感染拡大の状況から帰省できず、リモートを活用してお寺や自教区で所属する会の会議、学習会や法要などに参加している。

 

講義の冒頭では、「電話ひとつとっても、ここ20年の間に大きな固定電話から携帯電話に、今はポケットに入るくらいの小さなものに変化してきた。老若男女問わず、今まで使ってきたものが変化すると大抵の人は戸惑う。戸惑ったり、使い方に慣れずに間違えたり苛立つのは当たり前のこと。使ううちに慣れ、それが当たり前になる。こわがることなく色んな機能を触ってみてほしい」と話された。 

 

「リモート」という言葉は、急激な状況変化によって多用されるようになったものであり、正確な定義がまだなされていないままに使われている。その言葉が使われる場面から仮に定義するならば、「インターネットを通じて遠くにいる人と一緒に何かを行うこと」。「一緒に何かを行いたい」という人々の気持ちが根底にあることを想いながら挑戦してほしいとの説明があり、受講者は実際にZoomを使ってみることになった。

 

【講義の様子】

 

 

 

◆住所を共有してあつまる―Zoomのミーティングルームを設定・招待する ―

 

電話番号を知っていれば電話ができるように、インターネット上では住所(URL)を知っていれば同じ場所に集まることができる。「リモート法要」では「Zoom」を使うことを前提として、まずは法要に参加する人が集まる「住所(URL)をつくる」作業を行った。

 

まず、会場寺院のWi-Fiに受講者全員が接続し、それぞれの持つメールアドレスを用いてZoomのアカウントを公式サイトにて作成。持参した端末にアプリをダウンロードし、サインイン。

 

過去にZoomミーティングの招待を受け、その際にアカウントを作成したがパスワードなどを忘れてしまったということや、端末で使用しているメールアドレスを確認する方法がわからないということもあったが、パスワードの再設定をすることで、参加者全員が「新規ミーティング」を開始することができた。

 

そのミーティングルームの情報を画面上で確認。受講者のひとりがミーティングルームに他の受講者と講師を招待し、全員で実際にミーティングを実践。ミーティング参加時のマナーとして、「マイク」のON/OFF、チャット機能などを実際に使用し、使い勝手や想定される音声トラブルなどを体験した。

 

自分が普段利用する端末で体験してみることで、各種機能を使用するときにどのような注意が必要か、その都度確認することができる。リモートの研修会では、講師が用意した道具だけではなく、実際に受講者が使用する機器を用意することが重要だと感じた。

 

 

 

◆模擬リモート法要の実践

 

Zoomを利用できる環境が整ったところで、第2回目の研修では模擬リモート法要を行った。受講者のひとりのノートPCに、他の受講者のデジタル一眼レフカメラを接続。他組の住職にもリモートで参加いただき、法要の見え方、気になる点を伺った。

 

 

《当日の配線図》

 

配線図

配線図2

 

 

《道具》

なるべく少ない数で接続できるようにし、道具は組で用意することも検討したが、受講者が自身の端末で利用できるよう、使用する道具は各自で用意した。

現在、大手の通販サイトでは、細かな道具が簡単に検索でき、送料無料で返金保証も充実しているため、こうした通販サイトでの道具の検索方法についても確認した。

(1)ノートPC

(2)USBビデオキャプチャー

(3)HDMIケーブル(Micro-HDMI to HDMI)

(4)デジタル一眼レフカメラ

(5)カメラ用三脚

(6)USBマイク・スピーカー

(7)延長コード

 

《法要の差定(次第)》

リモート法要で導師をつとめる場合、カメラを向けられることになり、緊張が高まることが予想される。そのため、平常時の法要・法事の差定のとおりにお勤めすることが勧められた。 

 

また、音声が乱れるなど、進行に不具合が生じることも考えられるため、はじめのあいさつの際に日程と差定を参加者に伝えること、早口にならないように心掛けることが重要との説明があった。

 

(1)はじめのあいさつ(法要の意義・本日の差定を伝える) 5~10分

(2)法要 ①通常版(伽陀→表白→総礼→阿弥陀経→短念仏・回向→御文) 30分

      ②短時間版(総礼→阿弥陀経→短念仏・回向→御文) 20分

(3)おわりのあいさつ(法要の意義・ミニ法話) 5~10分

 

 

《やってみて良かった点》

 

  • カメラの性能が良いと画質がきれいになると確認できたこと。PC内臓カメラとの写り方が比較できた。
  • カメラ担当者がいることで、導師は法要に集中できた。
  • 鏧の音を確認できたこと。喚鐘は早く打つところの音声がぼやける感じがする。
  • コード類の長さを確認できたこと。
  • ホストは、有線LANを使用すると配信が安定すると確認できたこと。

 

 

《見つかった問題点と解決策》

 

  • 細々とカメラの向きを動かせると、参加者は法要に落ち着いて参加できない。
  •  解決策→場面が切り替わるときだけカメラを動かす。切り替わる際にナレーションを入れる。
  • 進行の際、間延びして感じる。
  •  解決策→ナレーション・司会進行の担当がいると、参加者が「次は何だろう」という疑問から生じる間延びした感覚を軽減させることができる。
  • 最初、または最後に導師のあいさつをどうするか。
  •  解決策→法要の意義や短い法話を入れると、リモートであってもより法要・法事に参加したという感覚が得られる。時間に限りはあるが、短くとも力を入れた方が良い。

 

模擬リモート法要の様子】

 

 

 

◆研修を終えて

 

組で研修を行ったことにより、実際にリモート法要に挑戦しようとするときはお互いに駆け付け、役割分担をするなど協力しようという意見が出された。

 

感染症だけではなく、雪害、水害、地震などの自然災害により、移動が難しい状況も考えられる。こうした状況においても故人を偲び、向き合う時間をもつことができるよう寺院が環境を整える必要がある。組での研修では、近くの寺院同士で機器の設置や進行の補助、予行演習などを行うことができ、新たな法要の形に楽しく挑戦することができる。今回の研修会を企画した張﨑正裕氏(山形教区第1組心縁寺住職・同組副組長)からの「みんなでできたほうが楽しいよね」との感想に象徴されるように、「教化事業の延期や縮小が続く中で有意義な研修会ができた」という受講者の声も多く寄せられた。

 

山形教区では3月31日にも、教化委員会主催のリモート研修会の開催が予定されている。講師は、教区内で大学院で工学部出身の方、元ネットワークシステムエンジニアを経験された方が担当し、今回の研修の同じく参加者が持参する端末からZoomに接続し、インターネットセキュリティについての講義も含まれている。

 

多様な生活様式が浸透する中で、遠くにいる人とつながるために寺院の側も新たな方法に挑戦し、ご門徒と共に、それぞれのお寺に適した形を模索してもらいたい。

 

【教化委員会リモート研修会案内チラシ】

 

◇参考にしたテキスト

・東京教区オンラインマニュアル

 

(山形教務所)