今回は新型コロナの影響下にあって、法要の動画配信等の取り組みをされている大阪教区第6組の来通寺に取材させていただきました。

 


 

◆お寺を取りまく環境

来通寺は、大阪城から 東に1キロほどの大阪市鴫野東(しぎのひがし)にあります。大阪市営地下鉄の「鴫野駅」から徒歩5分、商業ビルやマンションが建ち並ぶ利便性の良さから、新しい世帯の方も多く住まれるそんな地域です。

 

「ありがたいことに、今、盂蘭盆会や修正会は、小さい子どもさん連れでお参りくださるようになりました。永代経や報恩講も年々参拝の方が増え、今は三座で150人くらい来てくださっています。年齢層も若く、この10年でだんだんと参拝の人が増えました」

 

近年は人口の多い都市部のお寺でも、参拝者数は年々減ってきているのが現状です。取材に伺った際、冒頭、思いがけない住職のお話に、私(取材者)は思わず身を乗り出しました。

 

 

◆お寺の広報活動のきっかけ

 

「特に、子どもが生まれてからなんですよ!」と、石山智裕(ともひろ)住職が、これまでの広報活動を力強く話し始められました。

 

「子どもの友達のお父さんお母さんと話をするようになるじゃないですか。 みんな近所の人達なので『わたしの家は、来通寺です』って言うと、『え?お寺なんてどこにあった?』って、口を揃えて言うんです。僕は今まで鴫野でうちのお寺を知らない人がいるなんて思ってなかったんです(笑)。正直、ショックでした。これでは若い人にお寺に来てもらえないはずだ。まずは『ここに真宗のお寺があるよ!』を伝えよう、そう思いました」。

来通寺住職の石山智裕さん

 

 

◆住職の熱意が伝わって

 

始めたことは、町内の門徒さん何軒かにお願いして自宅の塀に法語ポスターとお寺の案内を毎月貼らせてもらうこと。法語ポスターは、若いお母さんや子どもさんが立ち止まって読んでくれます。「子どもが読めるよう、全部フリガナをつけています。うちの子どもが6歳なのでその子が読めるのが基準です」。石山住職のお手製の法語のポスターは、カラフルな色使いに可愛いイラストで、つい足を止めてしまいたくなる力作ばかり。ポスターを貼っている時に「あのー、初めての者ですがお寺に行っていいですか?」と尋ねられたことも。

 

≪来通寺の法語ポスター≫

 

 

法要のチラシも手配りで、門徒さんには「一度お寺に来てください」との声掛けを毎回かかしません。「法話が聞けて良かった。また来ます」そんな声も聞こえるようになり、10年の地道な広報活動にやっと手ごたえを感じてきた時に、新型コロナウィルスの感染が拡大しました。

 

 

◆新型コロナの影響下で

 

「どうしよう?」ここで、法要の中止や内勤めが重なると、せっかく増えてきた参拝の方たちの足が遠のいてしまう。悩んだ末、盂蘭盆会のお参りは焼香だけに。感染対策には気を配りました。

 

 

例えば靴の脱ぎ履きで密にならないよう、本堂にマットを引いて土足で上がってもらうようにしました(上の写真参照)。出入口は一方通行です。また、安心して来てもらえるように、感染対策の様子を前もって動画配信しました。お勤めはインスタグラムでのライブ配信や動画にし、自宅で観てもらうことにしました。その時の撮影の機材は、なんとスマホひとつ!

 

≪前もって動画配信された感染対策の様子≫

 

その後の報恩講では、講師の先生に参拝者無しで法話をお願いし、スマホで録画編集してお寺のYou Tubeチャンネルで配信しました。

 

≪法話収録の様子≫

 

 

≪実際にYouTubeに配信された法話≫

 

 

 

今までスマホを持っていても活用できなかった世代の方々から「孫に教えてもらって動画見たよ」と笑顔の報告が次々と。また新しい広報の形が増えました。

 

 

「コロナ禍で、時間が出来たからこそ、今まで先延ばしにしていた事に手をつけられるようにもなりました。お寺のホームページが作れたのも、動画配信ができたのも、コロナ禍でも何とかして阿弥陀さんに出あってほしい。ただただ、その気持ちが原動力でした」

昔も今も、ピンチを前向きに乗り越えていく、石山住職のこれからの広報活動に目が離せません。 

 

                     (大阪教区通信員 上本賀代子)