新型コロナウイルスの感染拡大で活動が制限されています。
お寺に集まってお参りをする報恩講や春・秋彼岸会、永代経などの法要は、全国各地で規模を縮小することや日程変更して、お参りできる時間帯を分けて地域ごとに分散してお参りいただくことを行うなど、様々な工夫がなされています。
今回は、お寺が行った工夫ではなく、ご門徒が行った中陰のお勤めの工夫についてレポートします。

 ◇大好きなおじいちゃんが亡くなった

2020年12月24日、大好きなご門徒のおじいちゃんが亡くなりました。毎日、ラジオ体操に行くことを欠かさない方で、地域の人と人をつなぐことを、当たり前のように自然に行ってきたおじいちゃんでした

2020年夏、調子が悪いと入院されましたが一週間で退院されます。ご家族はまだまだ長生きすると思われていらっしゃいましたが、2021年12月24日の夜、亡くなられました。 

 ◇ご縁のある方をお呼びして、一緒にお参りしたいけど・・・

まわりに声をかけて、地域の活動に積極的に参加されるおじいちゃんだったので、新型コロナウイルスの感染拡大の状況がなければ、ご縁のある方をお呼びして通夜・葬儀にたくさんの方にお参りしていただきたい。そうご家族は考えていましたが、それも叶わず、近しいご家族をお呼びして15人程度でお参りとなりました。

通夜、葬儀を経て火葬のあと、家族でお骨を拾いました。毎日のラジオ体操、山に登って朝日を仰いで太鼓をたたいたりしていたおじいちゃんの足腰の骨は、とってもしっかりしていたのが印象的でした。

  ◇二七日以降のお参りの課題に対する対応

火葬の後、繰り上げて初七日のお参りを行いました。

その後、満中陰までの七日毎のお参りを新型コロナの影響下でいかに勤めたらよいかも考える必要がありました。その中で以下のような課題が明らかになりました。 

①「新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、県外への移動は自粛するよう言われているから、お参りしたい人でも県外からは参加できない」 【移動制限】

②「通夜・葬儀・初七日はホールでお参りしたので問題なかったが、そもそも大きな部屋がないので、通夜・葬儀でお呼びした15人も入るスペースがない」 【密集】

③「海外で船乗りをしている親族にもお参りしてもらいたい距離】

【コロナの中で使ってきたツールを使おう】

どうやったらみんなにお参りしてもらえるかを家族で考えた結果、自分たちが使ったことのあるZoomとLINEを使って中継することを思いついたとのことでした。

Zoomは、自宅にあるパソコンから参加したいと思われている方にメールを送信。LINEについては、グループ通話機能を用いて行いました。 

用意したものの、「お寺さんにお参りの中継を断られたらどうしよう。」 そんなことも少し考えたとのことでした。 

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試しにやってみてと行ったZoomとLINEを用いた中陰の法要のカタチでしたが、お勤めと法話はよく聞こえ、移動制限・密集・距離の3つの課題を解決することができました。

ご自宅まで来れなかった方にとっては離れていてもその場に立ち会うことができたこと、ご自宅でお参りされた方にとっては、離れていても場を共にしてくださったことがよかったそうです。

結果的に、中陰のお参りは、ZoomとLINE全て使ってのお参りとなりました。

◇お話しする中から

お勤めの後、お茶を飲んで会話をする中で、お孫さんが「中学校で音楽の講師をしていて、ピアノ教室お開設している」ということが分かりました。

「満中陰(四十九日)を来週迎えますが、法要の荘厳として自分の好きなこと、得意なことをしてみませんか?歌が得意なら、いろいろな法要や集まりで歌う〝真宗宗歌″〝恩徳讃″という歌がありますが歌いませんか」と声をかけました。 

その結果、満中陰(四十九日)では、はじめに「真宗宗歌、法要の終わりに「恩徳讃」をお孫さんが歌って、大事なおじいちゃんの法要を荘厳しました。

  ◇ZoomとLINEを使ってのお参りをした感想

満中陰までZoomとLINEを使ってのお参りをしてみて、ご家族の思ったことは、

「大事なおじいちゃんのお参りだから、止めずにできてよかった」 

「新型コロナの中でやれることをやってよかった」 

「やっぱり集まってお参りしたかった」 

「海外の親戚にもお参りしてもらえてよかった」 

また、「どんなことも、いい面とよくない面とどっちもあるもの。今は、できることを精いっぱいやる時期だ」とも述べておられました。 

 

  ◇話はつづく

満中陰(四十九日)の法要が2月中旬でした。約1か月後の3月20日に春季彼岸会を控えていたため、断られるかなと思いながらダメもとで、「お寺の彼岸会で〝真宗宗歌″と〝恩徳讃″を歌いませんか?」とあらためてお願いしました。

そう思った理由としては、満中陰(四十九日)の「真宗宗歌」「恩徳讃」の歌がよかったことはありますが、

①お寺から車で30分ぐらい離れたところにご自宅があり、なかなかお寺に足を運ぶ機会がないので歌をきっかけにお参りに来ていただきたいと思ったこと。

②全国的に法要の規模縮小など行われており、彼岸のお斎も2020年3月から中止になった。縮小することばかりなので、仏教・真宗的要素があり新しいことをしたいと思ったこと。

が挙げられます。

「私、なんでもやれそうなら受けてみることにしてるんです」との回答をいただき、3月20日春季彼岸会にて法要のはじめに「真宗宗歌」、法要の終わりに「恩徳讃」をアカペラで歌っていただきました。お参りの方々は、その歌声に自然と拍手をされました。

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 4月中旬に勤めた100か日、満中陰(四十九日)より多くご家族が集まり、新たに御本尊とお内仏を迎えてお参りしました。そして、おじいちゃんのご遺骨をお墓に納めました。

◇法要を通じて思ったこと

やりたいこと、やれること、やれないことを並べてみる。その人が持っている力を確かめる。思いつきを試してみる。試してよかったことを他でもやってみる。関心があることに応えていく一つ一つのことがつながって、今回のようなカタチになりました。

新型コロナウイルス感染防止のため何かと制限はありますが、その制限の中で今やれることをやろうと考えた時、いろいろな出会いや発見があるということを学ばせていただきました。

 

「制約や制限を積極的に受け入れることによって、

それに思いがけない機会や強みが潜在していることに気づく。」

―楠木 建(一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻(ICS)教授)―

 

(企画調整局/岡崎教区第28組樂圓寺衆徒)